私だったかもしれない
2週間ほど前に入所したOさんは小さな小さなおばあさんだ。痩せて小柄な上に背骨は大きく曲がり、手足の拘縮も進んでいる。長時間座っていられないので、毎食事の寸前に食堂に誘導し、終われば即、臥床していただく。骨粗鬆症もある。
先週の金曜日午前、金曜日は入浴で職員はみな浴場に出払い、フロアにはリーダーと派遣のAさんしか残っていなかった。
Oさんの入浴の順番が来たので、リーダーの指示でAさんがOさんを起こしに行った。AさんがOさんを車椅子に移乗しようとした、そのとき・・・
「痛~い!」
小さな身体のどこからそんな声が出るのかと思うほどの大声でAさんが叫んだという。
「痛い痛い! 膝が痛い!」
びっくりして飛んできたリーダーとAさんは何がなんだかわからず、とりあえずベッドに戻し、入浴は止めにしてナースを呼んだ。
ドクターが診断し、レントゲンを撮ったが、足が拘縮しているのでうまく写らなかったそうだ。ちょっと身体に触れただけでも痛がるので、おそらく骨折しているのではないかと言う。ギブスを作ろうとしたが、骨が擦れて褥瘡になりそうなので弾性包帯をきつく巻いて固定してある。鎮痛剤で痛みはやわらいではいるが、体位変換やオムツ交換の際にはひどく痛がる。
派遣のAさんは未経験で、ここに来てまだひと月足らず。入浴パートが辞めたこともあってその日は入浴に回る職員が一人増えた上に入所者の受け入れもあり、フロアではバタバタしていた。入所手続きをやったことのないAさんに代わり、私がフロアに残ろうかと申し出たが、何とかなるだろうということで交代せず、私は割り振られたとおりにお風呂場に行った。後でリーダーは「自分がOさんのところに行けばよかった」と悔やんでいた。
「普通にトランスしたんです。どこにもぶつけてません。なのに、急に痛い痛いと言われて・・・」 Aさんは涙を浮かべ、謝罪の言葉を繰り返していた。
身の置き所のないほど萎れているAさんに何と声をかけたらいいのか・・・。
Aさんのトランスの仕方が悪かったのだろう。でももしかしたらOさんの膝は今にも壊れる寸前で、運悪く当たったのがAさんだったのかもしれないという気もする。フロアに職員がたった二人という状況が引き起こした事故とも思えるし、老健にふさわしくない状態の人が入所していること自体にも問題がありそうだ。
もしあの時、私がAさんと交代していたら・・・事故を起こしたのは私だったかもしれない。
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コメント
重なるんですよね、悪いことって・・・
「たまたま」のことが大事につながる・・・
>老健にふさわしくない状態の人が入所していること自体にも問題がありそうだ。
大きな問題ですね。
デイサービスも、認知だけでなく、身体的に重症の方が増え、目が離せない状態が多く、ナースがつきっきりだったりします。
投稿 みけ | 2008年1月16日 (水) 19:59
>みけさん
入所者は重度化しているのに職員数は減っている・・・
常勤職員の補充がなく、パートや派遣で頭数だけは揃っているけれど・・・
こんな状況でよく大きな事故も起こさず乗り切れたものだと
年末にみんなで話していた矢先のことでした。
考えなければいけないことは山ほどありそうです。
現場としては気を引き締めて当たるしかありません。
正月気分が吹っ飛びました^^;
投稿 kaorim | 2008年1月17日 (木) 10:38
はじめまして。
昨年より介護の仕事に就いたしるく(HN)と言います。
勇気を出して飛び込んだ職場でしたが一回挫折しました。
でも、また介護の職についております。
ほんと、現場では色々ありますね。
ちょっと、共感するところがありましたのでかきこさせて頂きました。
投稿 しるく | 2008年1月18日 (金) 22:52
>しるくさん、いらっしゃいませ&はじめまして
>勇気を出して飛び込んだ職場でしたが一回挫折しました。
そうですか。
でもまた介護の仕事にカムバックされているということは
乗り越えられたのですね。
物は考えようで、早いうちにガツンとやられた方が
その時は辛くてもいい介護者になれるかもしれません。
適当に要領良くやることばかり覚えてしまうと
いつか怖いことに・・・なんせ人の命を預かってるんですからね。
お仕事頑張ってください!
投稿 kaorim | 2008年1月19日 (土) 14:44